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有限会社エフ・イー・エー

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Dental Precious Metals

FAR EAST ALLOY
 Supports
ケース1...メタルボンド・・・ポンティック部からの気泡の発生      
使用金属 : オーシャンリベンジ(山本貴金属地金
         成分 Au58.5%・Pd31.3%・Ag1.95%・インジウム6.8%・その他1.45% 
         液相点1280℃  固相点1250℃

埋没材   : ベルベティー
(鰹シ風
         スケジュール : 800℃ 係留20分

鋳造機   : スーパーキャスコム
(潟fンケン)
         カーボンルツボ使用
         溶解温度1390℃

使用陶材 : ゼオセライト(
山本貴金属地金

その他   : プラキャストバー使用  ポンティックへのスプルーのなし


お預かりした状態



お預かりしたブリッジのポンティック部を赤線の部分で切断し観察



切断したフレームを樹脂に埋め観察
観察結果をそれぞれ図1から図4に示す


図1 図2 図3 図4 
図1.2.3.4全て200倍

図1図2図3の赤丸の部分の黒くみえるところは結晶粒界に出来た鋳巣です。
図4の鋳巣が確認されなかったものと見比べてください

今回の気泡の原因はこの鋳巣だと思われます。

今回のケースの作業工程の中で、鋳巣の原因と考えられる工程を変更してお預かりしたフレームを再度溶解・キャストして再現実験しました。(フレームと一緒に押し湯もお預かりしました。)

変更箇所

使用金属 : オーシャンリベンジ(
山本貴金属地金
         成分 Au58.5%・Pd31.3%・Ag1.95%・インジウム6.8%・その他1.45% 
         液相点1280℃  固相点1250℃

埋没材   : ベルベティー
(鰹シ風
         スケジュール : 800℃ 係留20分 → 830℃ 係留30分

鋳造機   : スーパーキャスコム
(潟fンケン)
         カーボンルツボ使用
         溶解温度1390℃ → 1400℃

使用陶材 : ゼオセライト(
山本貴金属地金

その他   : プラキャストバー使用 ポンティックへのスプルーのなし → ワックススプルー・ポンティックへのスプルー有り

 
            
    

サービカルまで焼成しましたが、気泡の発生はありませんでした。

結果
今回のケースでは、鋳造からメタル調整・ディギャッシング・築盛までの工程を確認しましたが、特に気泡発生の原因となることは有りませんでした。

このケースでの気泡の原因と思われる結晶粒界に出来た鋳巣が出来てしまった原因としましては、

1.液相点1280℃のセミプレシャスでのリング温度の設定が800℃では低すぎたのではないかということ

2.プラキャストバーを使用したことによるガスの発生とリング係留時間が20分と短くプラキャストバーから発生したガスが焼却しきれずに残ってしまったのではないかということ

3.ポンティック部へのスプルーがない為ポンティック部での溶湯と空気の交換がうまく行かなかったのではないかということ

以上の3つが考えられると思います。
 
 
ケース2...メタルボンド...気泡の発生   

メタルボンド・・・・気泡の発生

8本ブリッジの全体から気泡が発生

使用メタル : トレンドK−1(パラジウム系)
         成分Au10%・Pd57%・Ag21.5%・Sn7%・その他4.5%
         液相点:1285℃  固相点1240℃

埋没材    : セラベストクイック20(潟Wーシー)
          リング焼却 : ヒートショック加熱 850℃ 40分係留

鋳造機    : キャスパック(潟fントロニクス)
          (溶解温度 : 1400℃)
          セラミックルツボ使用

使用陶材  : ヴィンテージハロー(鰹シ風)

  

お預かりしたフレーム及び押し湯

      

気泡が発生したので、一度セラミックを全て?がし、確認できる鋳巣の除去を行った後、巣を除去した箇所のみスーパーエイジェントGU(山本貴金属地金梶@ゴールドボンディングエイジェント)を塗布、焼成後、再度セラミックの焼成を行ったが、再度全体に気泡が発生した。その状態でフレームと押し湯を預かりました。
(セラミックが黒くなっているのは試適のために気泡の箇所をハイブリットレジンで修復し、そのレジンを焼却したためです。)

*スーパーエイジェントGU気泡抑制効果についてはこちらへ



まず、メタル自体に問題はないかを調べるために押し湯を蛍光X線分析にかけましたが、トレンドK−1に含有される成分以外
検出されず問題は有りませんでした。

次に、フレームと押し湯を観察しました。
気泡の発生箇所はメタルが露出していることからメタルよりガスが発生したことが確認できました。



同様に押し湯も観察しましたが特に鋳肌荒れや鋳巣などは確認できませんでした。

次にフレームに残っているセラミックを完全に除去し、フレーム表面を拡大観察しました。



   
下に赤丸の箇所を拡大しました

   
スーパーエイジェントGUは問題なく焼き付けられフレームに拡散していますが、細かな突起物が確認されました。


次にその突起物を調査するため金属組織を観察しました。

赤線の箇所で切断し断面を観察



    
写真A :
@の拡大(100倍)            写真B :Aの拡大(100倍)

    
写真C :Bの拡大(PCの画面上での拡大)   写真D :Cの拡大(200倍)

写真Cで確認できるようにメタルから放出したガスによってスーパーエイジェントGUが押し上げられて突起物になっています。
また、写真Dでは酸化物と思われる黒い不純物が確認されました。

鋳造後のメタル処理、ディギャッシング、築盛の手順等を確認したところ気泡発生の原因となるようなことはありませんでしたので、この黒い不純物(酸化物)が陶材焼成中に放出されたことが気泡発生の原因と思われます。


再現実験
お預かりしたフレームと押し湯を再溶解し、お客様と同じスケジュールで、8本ブリッジではなく3本ブリッジを作製し、グレーズ終了後さらに10回繰返し焼成しました。

  
      1次焼成                2次焼成               グレーズ後


グレーズ後さらに10回繰返し焼成後気泡の発生は有りませんでした。


まとめ

今回ご使用頂いたトレンドK−1は(Au10%・Pd57%・Ag21.5%・Sn7%・その他4.5%(In・Ru・Ga・Fe)で構成されています。
8本ブリッジ分のワックスと4mmのワックススプルーでワックスの量が多くなり、リング焼却850℃ 40分係留では十分に焼却されず鋳型内にガスが残留したのだと思います。
この鋳型にガスを吸収しやすい特徴のパラジウム系のメタルをキャストしたことで、残留ガスを吸収してしまい、陶材焼成中に放出され気泡が発生したと思われます。
再現実験では3本ブリッジにしたことで、ワックスの量が減ったため同じリング焼却スケジュールでもワックスが十分に焼却され、メタル溶解中に残留ガスの吸収もなく気泡の発生がなかったと思われます。
このことからワックスの量に応じてリング焼却スケジュール(係留時間・温度)を変更して頂くことをお勧めします。


 
 
 
 鋳接 
合金と合金の鋳接についてお客様よりお問合せを頂き実験してみました。
 
内容
合金と合金の鋳接は境目に酸化膜が介在してしまう為鋳接できませんが、お客様よりあるメーカーがカーボン含有の
埋没材を使用すればメタルが酸化せず鋳接出来るのではないか?と言われたとお問い合わせを頂きました。
そこでベネフィットG・YP35・純金の3種類のメタルを用いて、キャップを作製し(写真1〜3)キャップ作成後キャップ上に
WAXUPを行い、2種類の埋没材を用いて埋没し、それぞれのキャップにベネフィットGをキャストし鋳接しました。



使用金属:ベネフィットG ハイカラット白金加金(Au70%・Pt4.5%・Pd2%・Ag13.6%・Cu8.8% 含有)
     YP−35    セミカラット白金加金(Au35%・Pt1%・Pd12%・Ag39.2%・Cu12% 含有)
     歯科用金地金(純金)

鋳接合金:ベネフィットG ハイカラット白金加金(Au70%・Pt4.5%・Pd2%・Ag13.6%・Cu8.8% 含有)

使用埋没材:クリストバライト埋没材
       リン酸塩系埋没材(カーボン含有)
         
 
 1.キャップ作製
 
写真1 ベネフィットG のキャップ
 
  
写真2 YP−35 のキャップ 
 
 
写真3 純金 のキャップ 
 

2.鋳接

キャップ作成後キャップ上にWAXUPを行い、表1に示す条件で2種類の埋没材を用いてそれぞれ埋没し、表2に示す条件で
リング焼却後、キャスパック6000にてベネフィットGをキャストし鋳接しました。


表1 鋳接使用合金と埋没材の条件

 条件 キャップ   鋳接合金  鋳造時使用埋没材
 条件1  ベネフィットG  ベネフィットG       クリストバライト系埋没材
 条件2  カーボン含有リン酸塩系埋没材
 条件3  YP−35  クリストバライト系埋没材
 条件4  カーボン含有リン酸塩系埋没材
 条件5  純金  クリストバライト系埋没材
 条件6  カーボン含有リン酸塩系埋没材


表2 リング焼成スケジュール

使用埋没材 リング焼成スケジュール
クリストバライト系埋没材 750℃で40分係留
カーボン含有リン酸塩系埋没材 室温からリング投入。300℃で30分係留後、850℃で40分係留

キャップ : ベネフィットG     鋳接合金 : ベネフィットG
         
     埋没材 : クリストバライト                     埋没材 : カーボン含有リン酸塩系
 

キャップ : YP−35     鋳接合金 : ベネフィットG 
         
 埋没材 : クリストバライト                     埋没材 : カーボン含有リン酸塩系
 
 
キャップ : 純金        鋳接合金 : ベネフィットG 
           
 埋没材 : クリストバライト                     埋没材 : カーボン含有リン酸塩系 
 

次にそれぞれの試験片を金属顕微鏡を用いて鋳接界面付近の観察を行いました。
写真は400倍です

キャップ : ベネフィットG     鋳接合金 : ベネフィットG 
        
  埋没材 : クリストバライト                    埋没材 : カーボン含有リン酸塩系 
 

キャップ : YP−35     鋳接合金 : ベネフィットG 
         
埋没材 : クリストバライト                     埋没材 : カーボン含有リン酸塩系 
 
キャップ : 純金        鋳接合金 : ベネフィットG  
       
 埋没材 : クリストバライト                     埋没材 : カーボン含有リン酸塩系 
 
結果
今回3種類のメタルでキャップを作製し、2種類の埋没材を用いてそれぞれにベネフィットGを鋳接しました。

結果1 カーボン含有の埋没材を使用したもの、ノンカーボンの埋没材を使用したもの、で鋳接界面の差異は認められません
     でした。

結果2 キャップを純金で作製し、ベネフィットGを鋳接した試験片以外は全て鋳接界面に酸化膜が介在し、隙間が確認できた。
 
 
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