合金と合金の鋳接についてお客様よりお問合せを頂き実験してみました。 |
内容
合金と合金の鋳接は境目に酸化膜が介在してしまう為鋳接できませんが、お客様よりあるメーカーがカーボン含有の
埋没材を使用すればメタルが酸化せず鋳接出来るのではないか?と言われたとお問い合わせを頂きました。
そこでベネフィットG・YP35・純金の3種類のメタルを用いて、キャップを作製し(写真1〜3)キャップ作成後キャップ上に
WAXUPを行い、2種類の埋没材を用いて埋没し、それぞれのキャップにベネフィットGをキャストし鋳接しました。
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使用金属:ベネフィットG ハイカラット白金加金(Au70%・Pt4.5%・Pd2%・Ag13.6%・Cu8.8% 含有)
YP−35 セミカラット白金加金(Au35%・Pt1%・Pd12%・Ag39.2%・Cu12% 含有)
歯科用金地金(純金)
鋳接合金:ベネフィットG ハイカラット白金加金(Au70%・Pt4.5%・Pd2%・Ag13.6%・Cu8.8% 含有)
使用埋没材:クリストバライト埋没材
リン酸塩系埋没材(カーボン含有)
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1.キャップ作製
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写真1 ベネフィットG のキャップ |
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写真2 YP−35 のキャップ |
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写真3 純金 のキャップ |
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2.鋳接
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キャップ作成後キャップ上にWAXUPを行い、表1に示す条件で2種類の埋没材を用いてそれぞれ埋没し、表2に示す条件で
リング焼却後、キャスパック6000にてベネフィットGをキャストし鋳接しました。
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表1 鋳接使用合金と埋没材の条件
条件 |
キャップ |
鋳接合金 |
鋳造時使用埋没材 |
条件1 |
ベネフィットG |
ベネフィットG |
クリストバライト系埋没材 |
条件2 |
カーボン含有リン酸塩系埋没材 |
条件3 |
YP−35 |
クリストバライト系埋没材 |
条件4 |
カーボン含有リン酸塩系埋没材 |
条件5 |
純金 |
クリストバライト系埋没材 |
条件6 |
カーボン含有リン酸塩系埋没材 |
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表2 リング焼成スケジュール
使用埋没材 |
リング焼成スケジュール |
クリストバライト系埋没材 |
750℃で40分係留 |
カーボン含有リン酸塩系埋没材 |
室温からリング投入。300℃で30分係留後、850℃で40分係留 |
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キャップ : ベネフィットG 鋳接合金 : ベネフィットG |
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埋没材 : クリストバライト 埋没材 : カーボン含有リン酸塩系 |
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キャップ : YP−35 鋳接合金 : ベネフィットG |
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埋没材 : クリストバライト 埋没材 : カーボン含有リン酸塩系 |
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キャップ : 純金 鋳接合金 : ベネフィットG |
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埋没材 : クリストバライト 埋没材 : カーボン含有リン酸塩系 |
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次にそれぞれの試験片を金属顕微鏡を用いて鋳接界面付近の観察を行いました。
写真は400倍です |
キャップ : ベネフィットG 鋳接合金 : ベネフィットG |
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埋没材 : クリストバライト 埋没材 : カーボン含有リン酸塩系 |
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キャップ : YP−35 鋳接合金 : ベネフィットG |
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埋没材 : クリストバライト 埋没材 : カーボン含有リン酸塩系 |
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キャップ : 純金 鋳接合金 : ベネフィットG |
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埋没材 : クリストバライト 埋没材 : カーボン含有リン酸塩系 |
結果
今回3種類のメタルでキャップを作製し、2種類の埋没材を用いてそれぞれにベネフィットGを鋳接しました。
結果1 カーボン含有の埋没材を使用したもの、ノンカーボンの埋没材を使用したもの、で鋳接界面の差異は認められません
でした。
結果2 キャップを純金で作製し、ベネフィットGを鋳接した試験片以外は全て鋳接界面に酸化膜が介在し、隙間が確認できた。
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