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溶湯がスムーズに流れず、乱流を起こし空気と攪拌されてしまう |
溶湯がスムーズに流れ、空気との攪拌を出来るだけ少なくする |
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・鋳造圧の方向に注意してスプルーイングして下さい |
遠心鋳造機では鋳造圧のかかる方向が遠心方向の一方だけの為、陰圧になってしまう部位があります。 |
陰圧になってしまった部位は鋳造圧が弱く密にならずスカスカになってしまう恐れがあります。 |
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写真提供:山本貴金属地金 |
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写真提供:山本貴金属地金 |
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望ましくないスプルーイング |
望ましいスプルーイング |
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一般的な遠心鋳造機のスプルーイング |
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写真提供:山本貴金属地金 |
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チャンバーが反転して圧がかかる時にスプルーの入り口がメタルで塞がれるようにする |
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直線のスプルーの場合、図のように溶湯がスプルーの入り口を
塞ぐ前に空気(鋳造圧)が、かかってしまう恐れがある |
湾曲スプルーの場合、図のように溶湯がスプルーの入り口付近で
一度たまる為、入り口を塞ぐ前に空気(鋳造圧)がかかるのを防ぐ
ことができる |
写真提供:山本貴金属地金 |
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上記のことから合金が流れ込む際に空気まで鋳込まれる可能性を避ける為、
真空加圧反転式鋳造機のスプルーイングは湾曲スプルーを用いると良い |
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円錐台(フォーマー)について |
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上の写真のようにメタルには表面張力や粘性があります 写真提供:山本貴金属地金 |
↓ |
チャンバーが反転しルツボから溶湯がリングに流れ込む際、溶湯には表面張力がある為バウンドしてしまう恐れがあります。
そこで真空加圧反転式鋳造機での鋳造の際に使うリングフォーマーは流れ込んだ溶湯をバウンドさせずに素早く落ち着かせることが
出来るように背の高いフォーマーを使用することをお勧めします |
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反転加圧型鋳造機に適していないフォーマー |
反転加圧型鋳造機に適したフォーマー |
写真提供:山本貴金属地金 |
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真空加圧反転式鋳造機の一般的なスプルーイング |
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3.スプルーイングの材料について |
・プラキャストバーについて |
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プラスチックバー使用 |
ワックススプルー使用 |
写真提供:山本貴金属地金 |
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それぞれを埋没後、800℃で30分係留し、その後真ん中から縦に切断し内部を観察 |
写真提供:山本貴金属地金 |
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プラスチックスプルーを使用した内部 |
ワックススプルーを使用した内部 |
スプルーイングにプラスチックバーを使用したリングは全体的に黒ずんでいるように見え、埋没材の中に気泡が確認できた。
対して、スプルーイングにワックスプルーを使用したリングは黒ずみや気泡は確認できませんでした。 |
写真提供:山本貴金属地金 |
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1...プラキャストバー
2...ワックス
←
3...パターンレジン
4...プラスチック |
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プラスチック系の材料は700℃まで加熱しただけでは燃えカス(すす)
のような黒いものが残っていました。このことからプラキャストバー・
プラスチックバー・パターンレジンを使いスプルーイングした際は、
最終焼却温度で十分に係留して頂くことをお勧めします。
また、メタルボンドフレームに関してはプラスチックの残留ガスを
メタルが吸収してしまい(特にパラジウム系)陶材焼成中にガス(気泡)
の発生する恐れがあるのでプラキャストバーやプラスチックバーの
使用は危険回避の為にも避けたほうが望ましいと思います。 |
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写真提供:山本貴金属地金 |
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4.リング焼却 |
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実験
使用メタル........Au58.5%・Pd31.3%・Ag1.95% MB用セミプレシャス合金
リング温度........830℃
係留時間.........20分
鋳造温度.........1410℃ メーカー推奨の温度(液相点+液相点の10%)真空加圧反転式鋳造機使用
以上の条件でワックスの量の違いでどのような違いが有るかを実験しました。 (写真は100倍です)
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試験片@ 1cm×1cm 厚さ4mm |
試験片@ 1cm×1cm 厚さ1mm |
ワックスの量が多いフレーム |
ワックスの量が少ないフレーム |
ワックスの量が多いフレームは少ないフレームに比べて酸化物の取り込みが多いことがわかります。
このことからワックスの量(鋳造物の大きさや厚さ)によってリング焼却温度や係留時間を変えることが望ましいのではないかと思われます。 |
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4.溶解・キャスト |
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ブローパイプでのメタル溶解 |
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球状回転後溶湯がオレンジ色に光ったときがパラジウム・金合金のキャストタイミングです。 |
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4の拡大 |
溶解中に何かが跳ねることがありますが、脱酸材として含有されている亜鉛やスズです。
ここまで溶かしてもオーバーヒートではありません。
余談ですが、このように溶解中に脱酸材が飛んで減ってしまっているのでバージンメタルを足さず押し湯だけの繰返し鋳造は
出来るだけ避けて下さい。 |
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溶湯が白く光りだした時がメタルボンド用合金の
キャストタイミングです |
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メタルボンド用メタルについて |
1.応力開放 |
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鋳造時、溶解したメタルを鋳型内に鋳込むと、冷却速度の違いと凝固収縮に伴う鋳造歪みが生じ、その後の熱処理
(ディギャッシング・陶材焼成・ろう付け等)の際にその歪み(応力)が開放されメタルフレームの変形が起こる可能性が
あります。
その予防策として応力開放を行って下さい。
特にハイプレシャス系は融点も低く硬度も低いので、単冠でも応力開放を行って頂くことをお勧めします。
セミプレシャス系やパラジウム系でもロングスパンケースの場合は応力開放をお勧めします。
応力解放の方法
アズキャスト(スプルーカット前)の状態で、お使いのメタルのディギャッシングと同じスケジュールを行って下さい。 |
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2.メタル調整 |
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鋳造後埋没材から掘出しサンドブラスト
処理をしたもの |
右半分のみメタル調整しました |
その後、全体にアルミナ処理後超音波で
洗浄しました |
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その後検体をディギャッシングしたものが下の写真です |
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写真提供:山本貴金属地金 |
メタル調整を行わなかった面に比べてメタル調整を行った面のは、酸化膜が濃く見えると思います。
これはメタル調整を行った事でメタル表面が均一になり、そこにアルミナを当てた為、メタル調整を行わなかった面に比べメタル表面が
均一に荒れ表面積を多く出来た為に酸化膜が濃く(暗く)見えるからだと思います。
陶材とメタルのボンディングで最も重要な要素である科学的結合はメタルをディギャッシングし表面に酸化膜を生成させ、そこに生成された
金属酸化物と陶材中の金属酸化物を共有結合させますが、この際メタルと陶材の接地面積が多いほうがより強固にボンディングします。
また、メタル表面に鋳造時に巻き込んだ埋没材が残っていたりすると陶材焼成中の気泡(ガス)の発生の原因になります。
このことから鋳造掘出し後アルミナで埋没材を除去した後、メタル表面を一層削り新生面を出しアルミナ処理を行いメタル表面を均一に荒らして
メタルの表面積を増やし、陶材とメタルの接地面積を増やして頂くことをお勧めします。 |
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カーバイトバーのみでメタル調整を仕上げた表面 |
カーバイトバー使用後仕上にセラモメタルポイントを使用した表面 |
写真提供:山本貴金属地金 |
仕上にセラモメタルポイントを使用したほうが表面の荒れが少ないのがわかります。
メタル表面が荒れすぎると陶材焼成中のガスの発生の原因にもなります。
ハイプレシャスメタルのように流動性が良く鋳型表面の再現性の良いメタルを使用した場合や鋳造後面荒れがひどい時など、メタル調整の
仕上にシリコンポイントを使い表面の巣・メタルの重なりやめくれ等が完全に取除かれたことを確認している方もいらっしゃいます。 |
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また、カーボランダムポイントは主成分の炭化ケイ素を巻き込んでしまい、焼成中のガスの発生の原因になる恐れがありますので、
出来るだけ使用は避けて下さい。 |
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メタル調整によって出来た加工応力は加熱時に解放され加工歪みとなって現れるので、歯軸方向ではなく近遠心方向に研削して下さい。
特にマージン部は加工応力の影響を受けやすいので気をつけて下さい。 |
写真提供:山本貴金属地金 |
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3.洗浄 |
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蒸留水・水・アルコール等を使い5〜10分間超音波洗浄を行って下さい。 |
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上の図のようにスチーマーのみではメタル調整やアルミナ処理で出来たメタル表面の荒れに残った異物が取りきれず残ってしまう恐れが
ありますので、必ず超音波洗浄を行って下さい。 |
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4.ディギャッシングについて |
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スケジュール
・ハイプレシャス系(黄金色)
炉口付近で5分間乾燥後、ヒートレート60℃/mで700〜960℃(大気中)で5分間係留後法令
・プレシャス系(白色)・セミプレシャス系
炉口付近で5分間乾燥後、ヒートレート60℃/mで700〜980℃(大気中)で5〜10分間係留後法令
・パラジウム系
炉口付近で5分間乾燥後、ヒートレート60℃/mで700〜980℃(大気中)で5〜10分間係留後法令
ディギャッシングの注意点
・炉口付近での乾燥を行わずディギャッシングしたり、真空下でディギャッシングをすると、不均一な酸化膜を生成してしまい、
ボンディングや色調に悪影響を及ぼす可能性があるので、必ず炉口付近での乾燥を行い大気中でディギャッシングを行って下さい。
・前ろう付けを行ったケースでは、お使いになったろう材によってはディギャッシング温度とろう材の融点(固相点)との温度差が
あまりない場合があります。その場合は焼成スタンドの固定の工夫やディギャッシング温度を少し下げるなどの変形防止への対処を
行って下さい。
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800℃でディギャッシング |
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920℃でディギャッシング |
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980℃でディギャッシング |
上の写真は平板にオペークを焼付け割ったものです。
800℃と920℃でディギャッシングした検体と980℃でディギャッシングした検体の酸化膜の色の違いがわかると思います。
また、拡大写真では800℃と920℃に対して980℃でディギャッシングした検体に残っているオペークの量が多いのがわかっ
ていただけると思います。 |
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4.ディギャッシング後の処理について |
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・ハイプレシャス系(黄金色)
ハイプレシャス系のメタルの酸化膜は黒く厚く張りボンディングや色調に悪影響を及ぼす可能性があります。
ディギャッシング後、希硫酸で5〜10分間酸処理をし、その後水で10分間程超音波洗浄をして頂くことをお勧めします。
(酸浴材としてフッ酸を使用してもかまいませんが、希硫酸で十分です)
・プレシャス系(白色)・セミプレシャス系
ディギャッシング後汚れの再付着に注意し、オペーク塗布を行って下さい。
(メタルによっては黒っぽい酸化膜を生成するものもありますが、そのままオペーク作業を行っていただいてかまいません。
もし黒い酸化膜が気になる場合は希硫酸で5分間酸処理後水等で超音波洗浄を行って下さい)
・パラジウム系
パラジウム系の中でもシルバー含有のメタルはディギャッシング後オペーク作業を行っていただいてかまいませんが、
ノンシルバーのパラジウム系メタルは酸化膜が黒く厚く張り、ボンディングや色調に悪影響を及ぼす可能性があるので、
ディギャッシング後アルミナ処理(2気圧くらい)を行い表面の酸化膜を飛ばしてからアルコールや水で5〜10分間
超音波洗浄行った後、オペーク作業を行って下さい。
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ハイプレシャス系のディギャッシング後の色調に関して
(使用メタル:ヤマモト スーパーエクセレントAu86% Pt11.8%) |
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上の平板はディギャッシング後、酸処理無しのもの
下の平板はディギャッシング後、希硫酸にて酸処理したもの |
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ディギャッシング後は酸化膜が黒く張っていますが、酸処理をしたことで黒い酸化膜はなくなっています |
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上の平板はディギャッシング後、そのまま900℃で
2回焼いたもの
下の平板はディギャッシング後、希硫酸にて酸処理したもの
を900℃で2回焼いたもの |
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ディギャッシング後酸処理を行わなかった平板はその後の焼成で、さらに黒い酸化膜が張っていますが、酸処理を行った
平板は黒くなっていないのがわかります。
このようにディギャッシングで生成された黒い酸化膜を1度落とすことで、その後の焼成作業においてメタルが黒くなりずらい
様です。 |
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A |
B |
1800倍(写真提供:山本貴金属地金梶j |
写真AはAu86%のハイプレシャスメタルのディギャッシング後の酸化膜の顕微鏡写真です。
写真BはAu86%のハイプレシャスメタルのディギャッシング後希硫酸で5分間酸処理をした酸化膜の顕微鏡写真です。
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C |
D |
1800倍(写真提供:山本貴金属地金梶j |
写真CはAu52%のセミプレシャスメタルのディギャッシング後の酸化膜の顕微鏡写真です。
写真DはAu52%のセミプレシャスメタルのディギャッシング後希硫酸で5分間酸処理をした酸化膜の顕微鏡写真です。 |
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セミプレシャスはディギャッシング後の酸処理前と後であまり変化は見られませんが、ハイプレシャスの方は酸処理前と後では、
酸処理後のほうがモヤマヤしたものがなくなりシャープに見えます。これは厚く張った酸化膜が取れた為だと思います。
必要以上に厚く張った酸化膜はボンディングに悪意影響を及ぼしたり、陶材焼成中に気泡の発生の原因にもなりかねませんので、
取除いてから築盛作業に入ることをお勧めします。 |
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5.焼成ピンについて |
ディギャッシング後や陶材焼成後にメタルフレームを焼成ピンから外す際、きつくなっていることがありますが、
それは変形ではないかと思い実験してみました。 |
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使用したメタル
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比較した焼成ピンと模型とフレーム
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*フレームは同じものを2つ用意しました |
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上の写真のように2つのフレームをそれぞれ太いピン(今回はわざと少し太いピンを使いました)と細いピンにセットし、焼成しました。
(陶材の収縮等の影響が出ないようにあえて陶材は築盛せずフレームだけで焼成)
*焼成スケジュールは下記の通りです。 |
焼成スケジュール
乾燥5分 700℃〜960℃(ヒートレート60℃/分)大気中 係留5分・・・1回(ディギャッシング)
乾燥5分 450℃〜960℃(ヒートレート50℃/分)真空 係留3分・・・1回(ウォッシュオペイク)
乾燥5分 450℃〜930℃(ヒートレート50℃/分)真空 係留1分・・・1回(オペイク)
乾燥5分 550℃〜900℃(ヒートレート50℃/分)真空 係留1分・・・2回(ボディー)
以上5回
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毎回の焼成後太いピンにセットしたフレームは上の写真のように、持ち上げてもピンとフレームが離れませんでした。 |
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それぞれの5回焼成後の写真です |
AB |
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CD |
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写真Bの拡大 |
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太いピンを使用したほうはマージンがすいていました。 |
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写真Dの拡大 |
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細いピンを使用したほうはマージンはすきませんでした。 |
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上の図のようなことが起こっているのではないかと思います |
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今回の実験は当社独自の実験の結果なので、必ずしも適切な結果とは限りませんが不適合の1つの
要因として考えられると思います。
焼成ピンは下の写真のようにフレームの先端まで届かない(写真A)ものではなくフレームの先端まで届く
(写真B)ものを使うのが望ましいと思います。 |
写真A 写真B |
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